山と森と侗(トン)族と私

トン族の食文化

●嗜好
1. すっぱいものが好き
2. 賑やかな宴会が好き

●食事形式・内容
・大部分の地区でご飯もの2品・お茶2品を含む1日4食
・明け方に1日分の食事をまとめて作ることが多い
・米、茶セットに肉類、魚、野菜、果物などの組み合わせ

・お米・・・平地に住むトン族は粘り気の弱いもの(うるち米)
   ・・・山地に住むトン族は粘り気が強いもの(もち米)

  ※ もち米には多くの種類があり、中には赤いもの、黒っぽいものもある。
   これらのもち米を精米し、かゆにしたり、ちまきにしたり、ツーバと呼ばれる餅にしたりして食べる。

  ・お茶・・・基本的にトン族での“お茶”は油茶のこと。
 ※ 油茶とは、お茶というよりもスープ。とろみがある。作り方は、木の実からとった油で茶の葉をいため、水を加えて煮てから塩を入れる。これをこしたスープに米花(もち米を油で揚げたもの)、ラッカセイ、刻みネギ、豚の臓物などを加えて再び煮る。

・肉類・・・豚、牛、鶏、鴨など
・魚介類・・・鯉、鮒、ドジョウ、えび、カニ、貝など
・青果・・・アカザ、桃、キウイ、柿、梨、栗、梅、クヌギの実(豆腐の原料)など
・その他・・・ネズミ、蛇、オタマジャクシ、トカゲ、セミの幼虫、イナゴの幼虫、ツチバチのさなぎ、石蛙、センザンコウ、稚魚、シフゾウ、ニホンジカ、キョン、香樹の木の皮など
・飲み物・・・もち米から生成する酒、苦酒、果汁など

◎とにかく何でも食べる民族として有名で、トン族の料理は500種類以上あるだろうと言われている


●塩漬け
“侗不离酸”“三天不吃酸,走保打倒窜”“无菜不腌、无菜不酸”といった表現に表れているように、酸っぱいもの好きで、ほとんどの食べ物を塩漬けにしている。

・対象となる食材・・・肉類、魚介類、野菜、昆虫など非常に多い
・作り方・・・水に塩を加えて長時間煮る。塩漬けにしたい材料を加えて更に煮て、酒、ゴマ、粉末にした大豆などを加えてよくかき混ぜ、密封する。
・保存時間・・・野菜は最長2年、鶏肉は最長3~5年、その他肉は最長5~10年、魚は最長2、30年漬けておくことができる。

●宴席
客人を迎える儀式がある。客人と自分の間に障害物を設置。一問一答形式で歌を歌いながら問うては答えて客人と心を交わし、徐々に障害物を取り除きながら客人へ近付く。歌詞の内容はジョーク。

●マナー
・敷居の上に座って食べてはいけない
・他の人が食べているところをまじまじと見てはいけない
・元旦は火を使ってはいけない
・喪に服すべき時は魚以外の生臭いものを食べてはいけない
Etc...

●問題
  ・主にもち米を食べる地区の中には、中国の経済発展についていけず、生活のためにもち米よりも生産効率のいいうるち米を優先して作った結果主食がうるち米にすりかわってしまったなど、食生活が変化してしまった地区もある。

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