山と森と侗(トン)族と私

款組織と約款

 款は侗族社会特有の産物であり、侗族は“kuans”と言い、他の民族はそれを侗款と言います。款が生み出した父方氏族社会は唐宋の時代に整い、侗族社会内部は地域をもって結ばれ、軍事連盟性を持った社会組織を帯びています。

 款組織には大小があり、小款は一つの大きな村落若しくはいくつかの近接する小さな村で組織されたもの、中款はいくつか若しくは数十の小款で組織されたもの、大款はいくつか若しくは数十の中款で組織されたもので、連合大款は全ての大款区連合で結成されたものです。歴史上、侗族地区連合大款の範囲は相当大きく、「頭は古州から、しっぽは柳州まで」全ての侗族地区を覆い含んでいます。通道には9つ半の中款区があり、独坡、播陽(地陽坪を含む)、芙蓉金旬、双江、下郷(菁芺洲操〔地元語〕を含む)、坪陽甘渓、隴城、坪坦黄土、団頭(屯牙堡沿河村寨を含む)、馬龍(半分は広西龍勝の広南平など)がそうです。大小款ともに款首がおり、通常は徳望が高く仕事ぶりが公正である年輩者か村に長い者を推薦し、担当します。どの款区にも款衆が会議を行う款の土地があり、款場では大勢の人が集まり款を話し合ったり、約款を制定したり、条項の規定を公表したり、違款事件を処理したりする場所です。侗族の約款は侗族の古代社会の法律であり、それは自分たち民族の利益を守る原則から始まり、「立法」を通し、――同盟款の手段で人々の政治、経済、社会生活内の様々な行動規範を制定し、もって自分たちの民族の社会関係と社会秩序を守るのです。それは民族の規定、法律から社会治安、民事、刑事訴訟、生産管理などを含むそれぞれの方面で、全ての規定には具体的な条項があり、一連の侗族の古い歴史を持った法律系統を構成しています。内容はまとめると10方面あり、款坪款、約法款(暫定憲法款)、出征款、英雄款、族源款、創世款、習俗款、祝賛款、請神款、祭祀款がそうです。約法款をもって運用することが最も広範で、それは款区内の社会秩序を維持する規約です。その内容は計「六面の陰と六面の陽」、「六面の厚と六面の薄」、「六面の上と六面の下」、合わせて12箇条、18定款あります。死刑、重罰、軽罰、教育の批評などがそうです。

 款組織は定期的な活動だけではなく、不定期の活動もあります。定期的な款の議題は、主に生産管理についてで、毎年決まった期間に通常1年に2度あります。一度目は春の耕作、春の田植えの時期でこれを「三月約青」と言い、二度目は秋の収穫後の9月でこれを「九月約黄」と言い、そのとき款首は款民を鼓楼の敷地内に集め、厳かな儀式の下、款首が款の規約を説明します。款首は一条ごとに述べ、そして款民は呼応し、「そうだ!」と言い合い、賛同と決意を表します。

 不定期の活動は非常の状況があったときに開かれる款の活動を指します。主には、開款:つまり現在の公判、公判活動にあたります。款民の中でもし約款に違反した行いをとった者がいれば、直ちに全款区の民衆を集め、じかに約款違反の行いと招いた危害をはっきりさせ、民衆集団によって裁判をします。

 聚款:すなわち現在の立法活動のようなものです。聚款は、いくつかの中小款首が款民衆を率いて一つの場所に集め、共同で款の規定を議定する活動です。

 起款:起款は、一種の共同防衛や自衛を実現する軍事行動です。自分たちの村落若しくは近接の村にニワトリの羽を挿した知らせの手紙が来れば、款首は直ちに民衆を召集し、完全武装で出征し、共同で犯罪者を攻撃します。

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中国, 湖南省, 懐化市, 侗族, トン族, 日本語教育, 大阪大学。わたしたちは、中国湖南省懐化市にて「日本語教育」と「観光事業」をおこない、懐化市の人々との文化的な交流・相互理解を促進することを目指す、大阪大学で活動しているサークルです。 inserted by FC2 system